呼吸は私たちの身体にとって非常に重要な機能であり、健康と生活の質に大きな影響を与えます。正しい呼吸法を実践することで、ストレスを軽減し、心身の健康を維持することができます。生活の質を高める呼吸についてまとめました。
呼吸とは
呼吸とは身体に酸素を取り入れ、体内で発生する老廃物の二酸化炭素を排出するために、肺と呼吸筋を使って行われるガス交換・生命維持活動です。空気中で行われる肺呼吸に対して、水中で行われるエラ呼吸も存在するため酸素と二酸化炭素のガス交換と定義されています。この記事では主に肺呼吸を指した「呼吸」について解説しています。
呼吸は自律神経で制御されている
呼吸は自律神経によって制御されています。自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれており、交感神経は運動や緊張してストレスがかかる活動時に優位に働き、副交感神経はリラックス状態で働きます。ストレスが多くかかる現代人は交感神経が優位に偏りやすくなっています。
呼吸による自律神経への影響
呼吸や活動を意識的に行うことで自律神経を調整することができます。交感神経を促進して適度な緊張感を持って集中して物事に取り組むことができ、副交感神経を優位に働かせて余裕を持った対応や休息の時間をリラックスして過ごすことができます。
副交感神経を優位にする呼吸
深い息を意識的に行うことで副交感神経を優位にすることができます。姿勢を正した状態で腹式呼吸・鼻呼吸を行うと深い息がしやすくなります。
姿勢を正して、腹式呼吸で鼻から息を取り入れうことで効率的に休息を取ることができ、仕事をするときも同様に姿勢を正して取り組むことで、血流の改善や精神的な安定によりこれまでミスが多かった作業も落ち着いて対応ができようになります。
意識的に深い呼吸を行う一つの方法が瞑想です。深い呼吸ができているかや、自分の身体を隅々まで思い通りに動かせるかどうかをチェックする一つの方法としておすすめです。
自分で呼吸や意識をコントロールすることが苦手な方はヨガをおすすめします。身体の筋肉が過度に収縮しているものを伸ばしながら呼吸・瞑想を行うものがヨガの始まりだと私は考えています。
副交感神経を優位にするための休息の準備
呼吸ではありませんが、いまから休む!と明確にして、休息するための音楽や飲食物など、環境を整えること・休息準備を行うことも副交感神経を優位にするために重要なポイントです。思うだけでなく、行動することで身体にこれから休息することを伝えることも休息の質を高め人生の質を高めるポイントです。
交感神経を高める呼吸
交感神経を高める呼吸は、短い息を深く吸い込んで、長い息をゆっくりと吐き出すことで、交感神経を刺激する呼吸法です。交感神経は、身体を活動的にするための神経であり、ストレスや危険に対して身体を守るために活発に働きます。
交感神経を高める呼吸を行うことで、身体はエネルギーを生み出し、覚醒状態になるため、集中力やパフォーマンスを向上させることができます。また、交感神経の刺激により、筋肉の力が増し、代謝が促進されることで、脂肪燃焼も促進されます。
交感神経を高める呼吸法は、以下のような手順で行います。
- 鼻から短い息を数回深く吸い込みます。
- 口からゆっくりと長い息を吐き出します。
- 吸い込む息は、短く、ゆっくりと吐き出す息は、長くするようにします。
- 呼吸のリズムを整え、リラックスした状態を保ちながら、数分間呼吸を続けます。
このように、交感神経を高める呼吸法は、身体を活性化し、集中力やパフォーマンスを向上させるために有効です。ただし、交感神経が過剰に刺激されることで、不安やストレスが増加する場合もあるため、適度な量で行うことが重要です。また、高血圧や心臓疾患などの持病がある場合は、医師に相談することをお勧めします。
呼吸の流れと気体交換
呼吸は、肺をふくらませることで空気が鼻や口から喉、気管、気管支を通って肺に達し、肺を構成する肺胞で酸素と二酸化炭素の交換が行われます。空気中の酸素は肺胞から血液中に取り込まれ、二酸化炭素は血液中から肺胞に放出されます。そして、二酸化炭素を含んだ空気は肺から鼻や口を通じて排出されます。
時と場合に応じて適切な呼吸を選択することで効率的に行えます。
呼吸の深度と種類
呼吸には、深い呼吸、浅い呼吸、腹式呼吸、胸式呼吸、鼻呼吸、口呼吸など、使用する筋肉や流入経路などに応じて種類があります。各種の呼吸の違いについてご紹介します。
呼吸の深度
呼吸の速さや深さは、身体の状態や環境によって変化します。例えば、運動をしたり、緊張したりすると呼吸が速く大きくなります。睡眠中は呼吸がゆっくり深くなりますが、交感神経が優位の状態で睡眠を行う人が多い昨今、呼吸が浅くなることが増加しています。また、高地に行くと、酸素が薄くなるため、呼吸が速くなります。
深い呼吸
深い呼吸は、気分をリフレッシュさせたり、ストレスを軽減したりする効果があります。長距離運動では深い呼吸のほうがパフォーマンスが良くなるとする意見があります。
参考:ランニング中の呼吸方法|NIKEオンラインストア (通販サイト)
深い呼吸は腹部や背中を使って呼吸をすることを主に指し、腹式呼吸を指すこともあります。深い呼吸は、肺の胸部や肩に限らず、肺の下部まで空気を取り入れるため、酸素を効率的に取り込むことができます。
深い呼吸のメリットとしては、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する肺の面積が大きくなることにより、血中の酸素濃度を高め、身体の代謝を活性化し、免疫力を高めることが挙げられます。また、深い呼吸は、ストレスを軽減し、血圧を下げる効果もあると言われています。
深い呼吸を行うためには、まずリラックスして、深呼吸に集中することが重要です。次に、腹式呼吸を行うため、鼻からゆっくりと息を吸い込み、腹部を膨らませます。その後、口からゆっくりと息を吐き出し、腹部を縮めます。呼吸をするときは、できるだけ胸や肩を動かさず、腹部や背中に意識を向けるようにします。
深い呼吸を習慣化することは、ストレス軽減や免疫力向上に効果的であるため、日常生活で行うことが推奨されます。また、ヨガや瞑想などの練習においても、深い呼吸が重要な役割を果たすことが知られています。
浅い呼吸
浅い呼吸は、通常、胸部や肩に主に働きかける呼吸のことを指します。深呼吸と比較すると、浅い呼吸はより浅く、より速い呼吸を指します。
浅い呼吸の原因は様々で、ストレス、不安、疲労、喘息、肺疾患、肋骨の痛みなどによる肺不十分な拡張が考えられます。また、長時間の座り仕事やスマートフォンやパソコンなどの画面を見続けることで姿勢が悪くなり、肺が狭くなった結果、呼吸が浅くなることもあります。
浅い呼吸は、身体に不十分な酸素を供給するため、様々な症状の要因となることがあるとされています。また、呼吸が浅いことで、身体の代謝が低下し、免疫機能が低下する可能性もあります。
浅い呼吸を改善するためには、正しい姿勢を保つこと、深呼吸をすること、運動をすること、ストレスを軽減することなどが有効です。また、原因がわからない場合や病気が疑われる場合は医師に相談することが大切です。沖縄では医者半分・ユタ半分と言われることもありお医者様で原因不明の場合は神社仏閣、パワースポットなどに行ってみるのも一つの方法です。
呼吸筋別の呼吸種類
腹式呼吸
腹式呼吸は、体全体を使って呼吸を行い、肺活量を増やす効果があります。腹式呼吸は深い呼吸になりやすいため、落ち着いて物事に取り組みたい時や落ち着いた印象を与えたい場合、リラックスしたい時に効果的な呼吸です。
腹式呼吸の意識的に行う方法
- 鼻から深く吸い込んで、お腹を膨らませるように呼吸します。
- ゆっくりと口から吐き出します。吐き出す際は、下腹部(お臍の下)を引き締めるように息を吐きます。
- 呼吸のリズムを整え、リラックスした状態を保ちながら、数分間呼吸を続けます。
- ※瞑想のように時間を取って行う場合は、吸って吐いての1動作ごとに数を1、2、3と10まで数え、11以降は再度1に戻って数えてみてください
長時間の運動時には適度に腹式呼吸を取り入れることでパフォーマンス向上が期待できますが、腹式呼吸の名の通り腹部の筋肉を動かすため、上半身と下半身を固定して行う全身運動では意識しないと取り入れにくい呼吸です。
胸式呼吸
胸式呼吸は肋骨の間の筋肉が収縮と弛緩を行うことで肋骨間を上げ下げして行われる呼吸です。
短時間の急激な活動時に使用される呼吸で交感神経を促進して、頭をスッキリさせて血流を促進させる効果があります。
過度の緊張時には肋骨の間の筋肉が収縮状態で固まってしまい、肺が小さくなってしまうため腹式呼吸をしようとしてもうまく呼吸できない場合があります。
肩呼吸
肩呼吸とは、肩の上下運動を伴う筋肉を使用した呼吸を指します。通常の呼吸の腹式呼吸や胸式呼吸ではまかないきれない呼吸困難が強度になると生じる呼吸。あらゆる呼吸筋を動員しようとするはたらきが起きたときに発生する。肩の筋肉が呼吸に影響することを表しています。
呼吸のガス流入経路別種類
鼻呼吸
鼻呼吸は、鼻から吸気を取り入れることで、鼻毛や鼻の粘膜で空気のホコリや汚れを取り除いて浄化し、鼻の粘膜で加湿した空気を肺に届けてくれます。
口呼吸
口呼吸は、急激な空気の取り入れを行うことができるため短距離走や格闘技などの急な運動を行うときに使用されます。
日常的に口呼吸を行ってしまうと口腔やのどが乾燥してしまうことがあり、アレルギーや風邪の症状を悪化させることがあります。口形の形成にも悪影響が出る場合があるため幼少期には注意を払う場合もあります。
正しい呼吸を行うことは、身体の健康維持に重要です。適切な呼吸法を身につけ、日常生活に取り入れることで、ストレスの軽減や免疫力の向上などの効果が期待できます。
まとめ
ストレスや自律神経の不調を上げる機会が増えておりますが、大切なのは時と場合に応じた身体のコンディションに合わせることだと考えています。
緊張するシーンでは交感神経を優位にする呼吸を行って集中し、リラックスしたいタイミングでは深呼吸や深い息を行ってみて身体の準備を整えてから今目の前に会うことに大切に向き合って過ごしていきたいと考えています。
お記事を見た方にも、ぜひ今目の前にいる人や大切ななにかにいい影響を与えられる願いと、行動が一つでも多く届きますように。
コメント